技術は万能なようでそうでもなく、苦労が付きまとう。LEDにも弱点はあり、それをいかに長所として変換できるかに楽しさを見いだしながら付き合っているという。「新作WhiteHoleでは、作品の中心から生まれ出る星が、動きながら表情を変えているように見せたいと考えました。当初はいくつかの色を出すつもりでいたのですが、結局、白だけにしました。私にとって白は大切な色で、最も光に近い色だと思っています。けれどもLEDで完全な白を表現するのはとても難しく、大抵はRGB(赤・緑・青)のどれかに偏ってしまうのです。素子のばらつきもあり、同時期に生産されたロットで購入したり、ホワイトバランスを合わせたりもしていますが、それでも思い描いた白い光がなかなか出ない……」そのなかで視点の転換があった。「光自体がそもそも一定ではなく、色も表情も刻一刻と変わっている。LEDのあるがままの状態を受け入れたほうが、よりファウ(見えない光)に近いものを表現できることに気づきました。コンピューターのプログラム上ではどの素子も同じ出力の数値なのに、実際には強弱がある。それがかえって有機的に思えてきたのです」。「このように、制作中は自分の意図しなかったことが必ず起こります。そんなとき私は、思いがけないことを受け入れるようにしています。これまでの経験から、人智を超えたものがもたらす偶然によって、作品に力が与えられることを知っているからです。それは偶然との共同作業。予想できるものではありません」