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医師の道義的責任が問われることに

抗生剤の予防投与なしに手術をおこなえば、保険診療上は正しくても医師の道義的責任が問われることになります。もっと単純な例として、腹部の手術前には涜腸をおこない消化管を空にしてから手術をおこないますが、濡腸をするには便秘症との病名を加えなければ、涜腸が査定されるのです。たとえば心筋梗塞の患者が入院してきたとします。心筋梗塞は死に至る病気ですから、医師は患者を助けようと必死になります。病状は刻々と変わるので心電図を一日に二回とったり、心不全の合併を予測するため連日の胸部レントゲンも当然の医療行為となります。

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この正当な医療行為を保険組合に請求すると、「一日二回の心電図や連日の胸部レントゲンは過剰診療です。よって検査代は三分の一に削除します」このように保険組合が一方的に通告してくるのです。まさに「医療費の踏み倒し」が正義の仮面をかぶったまま行われているのです。このようなことは、重箱の隅を指摘しているのではありません。もし厳密に保険診療に従うとしたら、普通の治療の半分は拒否されるのです。自分は保険診療だけと思い込んでいるのんきな医師がいますが、それは思い違いか三〇年前の医療をやっているかのどちらかです。保険適用内の治療はありえないのです。ありえないのに、保険の適用を法律のごとくふりまわし、違反すれば犯罪者のように扱われるのです。医師の処方するクスリのほとんどには、注意事項として肝臓や腎臓障害などの患者にはそのクスリを投与してはいけないことが記載されています。