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ロサンゼルスに駐在していたときのこと

20年ほど前、私がロサンゼルスに駐在していたときのことです。カリフォルニアにある、ある大学のBusiness専攻学部の授業に招待されたことがあります。この講座には海外との商取引についての授業があり、私は毎日実践している人として呼ばれたのです。この授業で「海外との交渉にあたって、最も大切なことは何か」という議論がありました。結論から言えば、何よりも「準備(preparation)」でした。その通りです。日本国内のビジネスでも同じです。また、「日本のビジネスパーソンの特徴は何か」という話題も出てきました。そこで紹介されたのは、アメリカ人なら言葉通り「Yes」と理解される言葉が、日本人の場合、「No」を意味することがあるとの説明でした。たとえば、「すぐには結論が出ません」「難しいかもしれません」「検討事項にしましょう」「興味があれば、ご返事を差し上げます」などです。これらの返事をもらったとき、アメリカ人なら可能性ありで「Yes」の一種と理解します。しかし、日本人流には「No」を意味するといったことです。日本人と交渉するときの注意点として、「言葉の間(ま)に気をつけるべきだ」という話は、いまでもよく覚えています。それは、このような説明でした。2人のアメリカ人が交渉している場合、売り手(A)がしゃべり終わると買い手(B)がしゃべり出します。買い手が終われば次は売り手と、会話にスキマがなく2人は交互に話します。すなわち、A‐B‐A‐Bとなります。一方、南米などラテン人同士が交渉すると、売り手の説明が終わってもいないのに買い手がしゃべり出し、買い手の話をさえぎって売り手が話し出します。すなわち、AとBがある時点でオーバーラップするのです。ここで比較されるのは日本人です。アメリカ人と日本人が交渉すると、時として日本人が黙り込んでしまうことがあると言います。アメリカ人の会話のようにA‐B‐A‐Bではなく、A‐B、B(間)A、A‐B、B(間)Aとなる。言われてみれば、そのような交渉の場面をありありと思い浮かべることができます。