国土交通省の二〇〇三年度「マンション総合調査」では、住人のじつに四八パーセントがマンションに永住したいと答えている。マンションを「終の棲家」にと願う人々は、建物とコミュニティの「老い」に否応なく直面する。遠い将来の話ではない。戦後、コンクリートで造られたマンションや団地のうち二七万戸が、「スクラップ&ビルド」のサイクルとされてきた「築後三〇年」圏内に、いままさに入った。二〇一一年にはその数が一〇〇万戸に達するという。日本の全住戸のうち一九五六万戸、四四・六パーセントが終戦から一九八〇(昭和五十年)年までの「質より量」の時代に建てられた「狭くて古い」建物だ。だが、容積率を上げて建て替え、新しく増えた住戸を販売して再建費を捻出するという従来の手法は、非現実的になりつつある。地価は下落する一方で担保価値が下がった。金融機関は資金提供を渋る。住民の「自己負担」なくして再建は難しい。たとえ建て替えても、新住戸が売れる確証はない。マンションは、老朽化したからといって、すんなり建て替えられるような代物ではないのである。そこで、小泉内閣はこの閉塞状況を打破すべく、住民がコミュニティの将来を決める手続きや義務、権利の行使を定めた区分所有法を改正することによって、老朽化から「建て替え」への「筋道」をつけようとしたのだった。