「おふくろの味」とは、一般的には夫の母親から妻へと受け継がれる我が家の味。私は「おふくろの味」はマンネリでいいと思います。それが出てくると安心する味であれば。娘も「お母さんの料理はいつも同じ味」と言います。私はレシピを見てきちんと作るほうなので、結局いつも同じ味になってしまうのですが。私の母は主婦のプロとも言うべき人で、料理の名手。出汁のひき方、しんじょや茶碗蒸しといったレシピは受け継ぎましたが、私はずっと働いているので、母のような料理上手にはなりませんでした。人が来た時の得意技は手巻き寿司か鍋と言われています。唯一こだわっているのが、炊き立てあつあつの真っ白なご飯と味噌汁。これだけは家族ができたてを食べられるようにスイッチを入れ、味噌汁も煮立て直さないようにタイミングを見計らいます。私がいない時でもタイマーで炊き立てにできるように気を遣います。働いていることが言い訳ではないのですが、家事も仕事も何もかも完璧なスーパーウーマンにと自分を追い込んでは、家のことも苦しくなるばかり。「ご飯とお味噌汁がおいしければいいや」とある種の開き直りを持つことも、楽しく家事をやることの秘訣です。一方、夫は創作料理の名手。火力の強い料理、中華などはやはり夫が上手で、特にチャーハンが得意です。またクリエイターらしく、不思議な料理を出してくれます。私が天つゆと大根おろしを用意しておくと、テャッと揚げてくれる天ぷらの中に、プチトマトなど思いもかけないものが揚がっていたり、ポテトの上にエビテリがかかっていたりすることも。創作料理は夫の担当です。また、子どもが小さい頃は、赤城山の家の近くで川で魚釣りをして、山菜を摘み、それを料理したりもしていました。最近は、夫婦がどちらも料理する家も多いので、「おふくろとおやじの味」で育つ子どもも多いかもしれませんね。夫や子どもにだけでなく、自分がおいしいと思っているものを出しておけば、まず大丈夫。とにかく、白くてつやつやの炊き立てご飯がいちばん!というのが私の「おふくろの味」で、それは娘にもしっかり受け継がれています。