新潟県柏崎市の民家で一人の少女が「発見」されたのは、平成十二年一月二十八日のことでした。のちに「新潟少女監禁事件」と呼ばれるようになったこの事件は、私たちに強い衝撃を与えました。とりわけ最大の関心事は、「九年二ヵ月もの長き間、誰にも気づかれることもなく、一人の人間を監禁していた」という事実でした。最も多感な思春期を奪われた少女は、その心に深い傷を負ったことでしょう。少女自身は恐怖心による心理的な拘束下にあって助けを求められなかったと考えられるにせよ、どうして発見が遅れてしまったのか、私たちは少なからずそうした疑問を抱いたはずです。
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少女を誘拐し、監禁していた無職の男(二十八歳〈犯行当時〉)は、母親と二人暮らしをしており、住んでいた家もごく一般的な住宅地にありました。実際に現地へ行ってみた私には、その家が見通しの良い小高い丘の上に建てられていたことが意外に思えました。家の外観的な特徴はといえば、外壁には今風のサイディングが貼られ、周囲の景色を映し返す窓のフィルムと、衛星放送を受信するためのパラボラアンテナぐらいのものです。フィルムは少女が監禁されていた部屋の窓に張られており、社会からの干渉を拒んでいたことがうかがい知れます。